山田温泉│極上貸切風呂に津軽のレベルの高さを実感
下北半島を目指す長距離ドライブ旅。
青森初日は鶴田町の山田温泉に宿泊した。
一見住宅街の大衆浴場だが、立派な旅館棟も構える。
部屋にはまさかの貸切風呂付き。
最初どこにあるか分からなかったけど、入り口横に隠し扉のようにある。
お湯は紅茶色のモール泉。
ほのかな塩味とアブラ臭があり、滑らかなトロトロ感も絶品。
全部木で覆われた手造り感のある浴室。
管理が大変だろうけど、とにかく清潔にされていて、さながら高級旅館にいる気分。
檜の香りがまた堪らない。
このお湯を一晩中独泉できる上、同じ館内の大浴場も楽しめる。
大浴場は銭湯と同じ造りで、旅館棟とはまた違った、地元密着の良き風情。
お洒落で美人な女将さん、イケメンすぎる息子さん、寡黙なご主人。
皆さん本当に親切で、宿の雰囲気がとにかくステキ。
電話で予約したとき感じた女将さんのお人柄とそのままだった。
帰り際、女将さんと盛り上がる。
りんごジュースをプレゼントでいただいた。
離れるのが名残惜しくなるほど、居心地の良いお宿だったなあ。
黄金崎不老ふ死温泉│憧れだった波打ち際の真っ赤な露天風呂
言わずと知れた黄金崎不老ふ死温泉。
温泉にハマった小学生の頃、強く憧れていたのがここの露天だった。
日本海をひたすら北上し、ついに青森県へと入る。
秋田で寄り道したせいか、日帰り入浴終了までに間に合うかどうかといったところ。
不老ふ死温泉はかねてからの憧れだったため、風光明媚な白神山麓を楽しむことなく、ただ車を走らせた。
無事間に合ったものの、入り口から大変な混雑。
颯爽と露天風呂へ向かう。
お湯は茶褐色の強食塩泉。
見た目通り鉄臭と塩分がかなり強烈。
ヒリヒリするくらいの濃度だった。
想像以上に観光地の空気で、大混雑のためあまり落ち着かなかった。
でも、この絶景はさすがの一言だし、夕日が沈むタイミングに来れたのは本当に幸運。
湯田川温泉 正面湯│庄内の穏やかな温泉地
社会人になって始めての長旅。
覚えたばかりの車を駆使して、ひたすら北へ、下北半島を目指した。
県境の鼠ヶ関で車中泊し、冷えた身体を解そうと、朝風呂ができる温泉を探した。
温海温泉はコロナの影響で入れず。
見つけたのが鶴岡郊外、庄内平野の隅っこにある湯田川温泉だった。
商店のご主人に鍵を開けてもらい、外湯の中へ入る。
お湯はシンプルな無色透明湯。
早朝から浸かるには最高に気持ち良い。
しゃきっと目が覚めた。
地元のおじいさんとお話したが、庄内弁が全く聞き取れない。
ここはもう東北なのだと実感。
温泉街には木造建築が多く残り、何とも美しい風情。
歓楽的要素が一切なく、穏やかな空気が流れていた。
心身ともに温まり、次の目的地へと向かう。
飯坂温泉 共同浴場|地元に密着したアツアツの温泉銭湯
温泉街を形成しており、「東北一の大温泉」と言われているそう。
街中には9つの共同浴場があるということで、鉄道旅の途中に寄ってみることにしました。
福島駅からは福島交通の飯坂線で向かいます。
鄙びたローカル鉄道といった感じ。
阿武隈急行と併設したホームになっています。
この日は日曜日ということもあり、電車は観光客らしき人たちでいっぱい。
聞こえてくるのは東北弁。
遠方からの観光客というより、地元福島の人たちに愛されている温泉地に感じました。
のんびり揺られて終点の飯坂温泉駅に到着。
大きな市街地の郊外、山際に温泉街が発展している感じ、上田の別所温泉や松山の道後温泉に似ているなあと思いました。
さあ、湯めぐり開始です!
まず訪れたのが「鯖湖湯(さばこゆ)」。
日本最古の木造建築共同浴場だったそうです。
平成5年に老朽化により改築されましたが、現在も当時のように木造の重厚な造りとなっています。
観光客も多く訪れる飯坂一の人気外湯なのでは。
料金は200円。
浴室はみかげ石を使っており、共同浴場ながらもリッチな気分になります。
源泉温度はそんなに熱くはないですが、湯船の温度は相当な熱さ。
やけど気味になりながらもじっと浸かってみました。
福島市内から毎週通っているという地元のおじさんは、「これじゃ熱くて入れない」と言いドバドバ加水。
かと思いきや、その後来た自称地元民のおじいさんが、「まだぬるい方」と言い水を止める。
地元民同士でも違いがあるんだろうなあ…
「観光客や若い人はすぐ水で薄めて湯の鮮度を落とす」と言われました。
団体で来たおじさん達は浸かっていなかったです。
いろいろありましたが、お湯はさすがの一言。
身体をシャキッと引き締めさせ、湯上がりは清涼感が半端なかったです。
アルカリ性なのでお肌もスベスベ。
無色透明無味無臭温泉、侮ることなかれ!
次に訪れたのが「八幡の湯」。
こちらは地元の方の利用が中心のようです。
見ての通り、激渋。
お湯は鯖湖湯とそっくりで相変わらずの熱湯。
円形タイル張りのレトロな浴槽でした。
こちらは「大門の湯」。
高台の坂を上った所にあり、景色も素晴らしいです。
ディープで良さそうでしたが、逆上せ気味だったので入浴はスルー。
福島市街地方面を望む。
この飯坂という街、想像以上に大きいです。
家も密集していますし、人も大勢歩いています。
一見すると、ごみごみした普通の住宅街。
東北の温泉場ということを忘れてしまいます。
こちらは「十綱湯(とつなゆ)」。
住宅街の中にある渋い共同浴場です。
飯坂の温泉街は道が迷路のようで、見つけるのに苦労しました。
こちらは「導専の湯」。
新しい建物です。
こちらは「仙気の湯」。
賑わっていました。
さて、僕が一番感動した共同浴場がここ「切湯」。
温泉街の中央を流れる川沿いにへばり付くように建ち並ぶビル群。
その一画に切湯はあります。
道路の脇の階段を下るとまずは番台があります。
最初は気が付かなくて通り過ぎてしまいました。
そこからさらに階段を下ります。
なんだ!?この迷宮の入口感は!?
突き当りまで行くとお風呂場の入口が。
中はとっても狭いです。
素朴で小さなタイル張りの浴槽に、飯坂の熱湯がたっぷりと注がれています。
激熱なので皆さん入ったり出たりを繰り返します。
まさに地元密着系。素晴らしい共同浴場です。
出るころには身も心もホカホカ。
またこの階段を上って日常へと戻ります。
こちらは駅のすぐそばにある「波来湯(はこゆ)」。
ここだけ他よりも料金が高く、300円となっています。
その分、シャワーがあったり、適温に調節された浴槽もあるそう。
共同浴場初心者にはオススメです。
飯坂温泉の中心部を流れる川沿いには、張り付くように建ち並ぶビル群があります。
多くは旅館だそうですが、何というか…恐ろしい鄙び具合。
イメージしていた「東北の温泉地」とは違う、これまた飯坂らしい独特の景観だなあ。
ますます好きになりました。
観光客も多く訪れる場所でありながらも、温泉が地域住民の生活の一部として浸透している。
素晴らしい温泉地です。
磐梯熱海温泉 湯元元湯|あつ湯とぬる湯に交互浴。路地裏の激渋共同湯
大型ホテルや高級旅館が立ち並ぶ中、明らかに別のオーラを漂わせる激渋共同浴場です。
ここの自慢は、何と言っても泡付きのある新鮮なぬる湯でしょう。
通勤時間帯ということもあり電車は激混み。
途中、猪苗代辺りから眺めた会津磐梯山が美しかったです。
磐梯熱海駅で途中下車します。
元湯へは駅から徒歩およそ2分で着きます。
めちゃくちゃ駅近というアクセスの良さ。
磐梯熱海温泉には共同浴場が計3つありますが、早朝から営業しているのは元湯のみだそうです。
他の2つは午後4時からの営業。
狭い路地裏の奥へ進むと温泉が現れます。
この迷宮感がマニアを興奮させます。
外観は想像以上に鄙びていてびっくり。
玄関で番台のおじさんに500円を払います。
時間帯によって入浴料金が異なるようで、夕方になるにつれて安くなるんだったような。
おじさんに初めて来たと伝えると、親切に浴室の場所など教えてくれました。
脱衣所はきれいに改装されていましたが、浴室の趣は昔のままです。
湯船は2つ。
広い方が30℃ほどのぬる湯、隅っこにある小さい方が45℃ほどのあつ湯となっています。
この温度差は加温によるものではなく、泉温の異なる源泉を使用しているからだそう。
磐梯熱海温泉の源泉は、多くが高温のものらしいです。
ぬる湯を楽しめる元湯はレアな存在ですね。
やはり、このぬる湯が極上湯!
吹き出るかのように源泉が勢いよく湯口から飛び出しています。
かなり広く、そして深い浴槽ですが、そんなことはお構いなし。
ドバドバと縁からオーバーフローしている様を見ると嬉しくなります。
新鮮だからこそ楽しめる泡付きや、ほのかな硫黄臭も感知。
冬場に30℃のぬる湯は厳しかったですが、加温しないからこそのこの新鮮さだと思います。
地元のお客さんに見習って、あつ湯とぬる湯を交互浴してみました。
あつ湯でホカホカに暖めた身体を、ぬる湯でじんわりと解すように冷まします。
これを繰り返しているとやめられなくなります。
朝風呂で旅の疲れもさっぱり!
湯上がりにまた番台のおじさんに話しかけられました。
「長野から電車を乗り継いで来ました」と言うと、「わざわざ遠いところから…ありがとうございます」と、とても親切に話を聞いて下さいました。
次の電車が来るまでのたった50分ほどの滞在だったから、本当はもっとゆっくりしていきたかったなあ。
「また来ます!」と伝えて、名残り惜しくも駅へと戻りました。
元湯はもともとは旅館だったのかな。
「元湯旅館」と書かれた看板や、旅館棟らしき建物も。
末永く続いてほしい温泉です。
高級旅館が立ち並ぶ敷居が高めの温泉かと思っていましたが、さすが歴史ある古くからの街。
お湯は本当に素晴らしいものでした。
新津温泉|油臭マニアの聖地。アブラまみれになろう
ここは温泉マニアなら一度は憧れる場所なのでは?
そう。新津温泉といえば、やっぱりアブラ臭でしょう。
大学1年のとき、湯友さんに連れてってもらって以来、強烈なファンとなった素晴らしい温泉です。
余談ですが、新津の近くである燕三条付近は、別の“アブラ”が有名なのです。
燕三条といえば色々な名物がありますが、僕はこってりの背脂ラーメンが好きです。
メシには特にこだわりのない自分。
新潟のメシはなんだか相性が良いようで、毎回何かしら美味しいものに出会えます。
さて、新津駅に到着。
鉄道の交通の要衝になっています。
駅から新津温泉までは、商店街を15分ほど歩きます。
見えました。
大きなショッピングセンターのすぐ裏にあります。
そのギャップ、異世界感がたまらん。
「街中の秘湯」ってやつですね。
玄関で400円を渡して中へ。
素晴らしい脱衣所。
うっ!この時点で石油のニオイが・・・
強烈なアブラ臭です。
写真で見ると青っぽい色に見えますね。
コンクリ造りのシンプルな湯船がまた良き。
はっきり言いまして、お湯はもろ石油です。
もはや石油そのものに浸かっている気分。
トロリとしたヌメヌメ感のあるお湯。
他に類を見ない全国的にも特殊な温泉だと思います。
「〇〇温泉とそっくり」みたいな表現もできません。
まだ昼にも関わらず、地元の方が次々と入りに来ます。
皆さん湯船に縮こまってじっと浸かっていました。
湯口からはお湯が出ていない?と思いきや、急にドバっと吹き出したり。
「最近はお湯が減ってきてるんだよ」と地元のじいさん。
こんなに激しく噴出することもあるそう。
新津は1996年まで石油採掘が行われていた町。
新津温泉はその際に湧き出たものなのでしょうか。
この新津という土地だからこそ楽しめるアブラ臭の温泉。
希少価値のある温泉だなあと、つくづく思いました。
お湯の個性が強すぎてあまり触れられませんが、ここの建物の風情も素晴らしいです。
「鄙び」という言葉がなんとも似合う空間。
浴室へと続くこの廊下なんかも堪りません。
休憩室(たぶん有料?)もありました。
源泉が湧く庭。
市街地のど真ん中とはとても思えない、北海道の原野を思わせる雰囲気です。
思えば、新潟には石油くさい温泉が多々あります。
月岡温泉(新発田市)、西方の湯(胎内市)、ひすいの湯(糸魚川市)などなど・・・
新潟の温泉は、「しょっぱい or アブラっぽい」のイメージです。
その中でも、新津温泉はやはり別格のように感じます。
このニオイはいつになったらとれるんだ?
温泉ブログ、始めます。
はじめまして。
温泉マニア大学生の力路郎(りきじろう)と申します。
『力さん』とでも呼んでください。
この度、かねてからの夢だった、温泉ブログを立ち上げることになりました。
僕のことをすでに知っているという方は、「やっとか」といったところでしょう。
さて、簡単に自己紹介をさせてください。
僕の故郷は長野県の北部、北信濃と呼ばれる地域です。
趣味は温泉。
今となっては温泉が一番の生きがいとなっています。
近頃は大学にも温泉サークルとかがあったりして、若い人で温泉好きというのも大して珍しいことではないかもしれませんね。
そこで、僕は自称「温泉マニア大学生」と名乗らせてください。
いわゆるオタクです。自分で言うのも変ですが。
今回は一応若者である僕が、どういった経緯で温泉にのめり込んだのか、そしてどんな温泉が好きなのか、思う存分語りたいと思います。
共感してくれる方がいれば幸いです。
力路郎のこれまで
信州生まれ信州育ちの僕にとって、温泉は子どもの頃から身近なものでした。
父親に連れられて県内各地の温泉を巡っているうちに、いつしか自分は「温泉マニア」ではないだろうかと思うように。
それが小学校高学年のときの話です。
高校のときなど、一時期温泉から離れている時もありました。
「また温泉めぐりがしたい!」
そう思ったのが、大学進学で大阪へ引っ越してからのことです。
故郷信州には当たり前のようにあった温泉、源泉掛け流しの良質なお湯、それはここ大阪にはありませんでした。
その時、僕はようやく気づきました。
「”ホンモノ”の温泉がある場所なんてほんの一握り。日常的に生活の一部として温泉が楽しめる、自分は今まで本当に恵まれた環境の中にいたんだなあ」と。
思い返せば、自分は長野県しか知らなかった。
山国信州で生まれ育ち、その山を越えた先の世界はほとんど知らない。
地図を眺めて空想したあの世界しか知らない。
もともと地理が好きだった僕は、大学生活の一番の生きがいとして「旅」をしてみようと決めました。
極力お金をケチり、自由気ままに行動できる一人旅。
バイトで稼いだお金のほとんどを、旅費に費やしては消し去る日々。
周りの人と同じことをしたがらない僕にとって、そんな毎日は本当に楽しくて天国のような日々でした。
今となっては大学生活もいよいよ後半戦。
残された自由時間もあと少しです。
今まで本当にいろんなところに行ってきた。
記憶力にも限界がある。
次第に思い出が薄れていくのは悲しくてならない。
「そうだ、ブログを始めよう。」
今までの思い出をだらだらとでも書き綴れれば良い。
誰も読んでくれなくても、自分の記録を”モノ”として残したい。
そんな感じで、『力さんの温泉巡礼』始めます。
力路郎的世界観とは
小学生の頃から温泉マニアだった僕ですが、当然のように同級生で温泉の話ができる子などはおりません。
学校では、自分のマニアックな趣味のことを友達に話すことはありませんでした。
普通の小学生・中学生を装う日々・・・
その頃、週一で通っていた温泉が、地元長野市の松代にある「加賀井温泉 一陽館」でした。
ご存知の方も多いとは思いますが、小学生など全く来ない温泉です。
お客さんのほとんどが地元のじいさんか温泉マニア。
学校では味わえないその非日常的な空間が、当時の僕にとっては本当に堪らなく好きでした。
一陽館にはいつでも”仲間”がいました。
一緒にマニアックな温泉トークをしてくれる温泉マニアのおじさん達。
行ったことも無いくせにベラベラと話すから、「ボク凄いね~」ってよく言われていたのを思い出します。
そんなことがあって、一陽館には特別な思い入れがあります。
僕の好きな温泉、すなわち”一陽館みたいな温泉”と言えるでしょう。
一陽館は、僕が興奮するすべての要素を持ち合わせているように感じます。
まず、とにかくお湯がいい!
個性的な泉質に、豊富な湯量と完璧な湯使い。
そして、タイムスリップしたかのような鄙びた風情。
お湯以外は特にこだわり無し!
そんな温泉が大好きです。
そんな温泉を僕は”聖地”と呼びます。
大体お分かりいただけたでしょうか?
現在でもこんな温泉ばっかり巡っています。
大学に入って旅を始めるまでは、長野県外の温泉にはほとんど行ったことがありませんでした。
しかし、今では計300湯ほど入浴。
この二年間でさまざまな温泉の聖地に出会えました。
考え方なんて本当に人それぞれなんです。
どんな温泉が好きだとか、どんな旅がしたいかとか、それぞれあって良いと思います。
今の自分の目指すところは「お金をかけずに旅しまくる」こと、なのかなと。
全国のあらゆる温泉に知ったうえで、本当に好きになった温泉に何度も通い、お金を惜しまずじっくりと滞在する。
将来的にはそんな旅が出来たらいいなあ。
今の僕にとって、二食付きの温泉宿に泊まることは考えられません。
湯治宿に素泊まり、ネットカフェ、野宿が基本です。
メシは宿で自炊かカップ麺。
楽しいからそうしているだけなのかも。
Twitterでそうした旅の日常をツイートしていると、思いのほか反響があることに驚きます。
だんだんと「写真撮ってツイートしているだけじゃもったいないなあ」と思うように。
ツイートに書いた記録は、きちんと残すことはできません。
それならブログとしてまとめるのが面白そう。
そんなに固くならずに、旅の記録をだらだらと綴っていく予定です。
初めての投稿である今回も、気づけばすでに2000文字超え。
まだまだ書き足りない感じもしますが、このくらいでやめておきましょう。
『力さんの温泉巡礼』
これからどうぞよろしくです。
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